



地域や診療科によって格差がありますが、近年、開業は確実に増えています。厚生労働省の調査によれば、全国のクリニックの数は、この10年あまりで約15%ほど増加し、およそ9万5千件となっています。
しかし、それに比例してクリニックの患者数も増えているかというと、こちらは必ずしも増えているわけではありません。言うなれば“パイの奪い合い”という状況が起こっているのです。
加えて、平成14年4月の診療報酬マイナス改定、平成15年4月からの社保本人3割負担といった制度改革は、クリニック経営に非常に大きな影響を与えつつあります。
だからといって、すべてのクリニックが減収を余儀なくされているかというと、決してそうではありません。確実に患者数を伸ばし、成功しているところも少なくありません。
つまり、“明”と“暗”の二極分化、“勝ち組”と“負け組”がはっきりしてきたということが言えるでしょう。
明確なビジョンを持って、開業に向けしっかりと準備しておけば、診療所開業はきっと成功します。
逆に、中途半端な気持ちでは開業は成功しません。
そのことをよく認識した上で、開業を前向きに考えてみてください。

次の3つのことが重要な点となります。










診療圏調査は、開業場所の選定をデータ面から検証する作業であると同時に、
事業計画を作成する上での見込患者数を算出する資料となります。
診療圏調査は、次のようなプロセスで進めていきます。

市町村役場で、町丁別、年齢別の人口統計や最近の
人口動態等の資料を入手し、地図を用意します。

前述したように地域を歩き、どこに何があるのかを把握します。
特に競合となる医療機関の情報を入手しましょう。

地図に開業予定地と競合医療機関等をプロットしていきます。 (開業14か月前)

自院の診療圏を設定します。診療科や地域の状況によって異なりますが、例えば都市部における内科診療所の場合、主要な診療圏は概ね半径500~1,000mの範囲内と考えられます。特殊な診療科の場合や郊外であれば、当然この範囲も広くなり、また河川や幹線道路、線路等によって、通常診療圏も遮断されることに留意する必要があります。

設定した診療圏内の人口に受療率(人口10万人当たりの1日当たり推計患者数)をかけて計算します。受療率は、厚生労働省が3年に一度行う「患者調査」の結果をもとに、傷病別、性別、年齢別などに計算されています。



5.で算出された患者数は、他に競合する医療機関が全くないことを想定した場合の、診療圏内の潜在的な患者数を意味します。大病院など診療圏外に患者が流出していたり、診療圏内に同様の診療科がある場合には、これらを割り引いて、最終的に開業後の自院の見込患者数を算出できます。
上記の算式によって、予定している場所で開業した場合の1日当たりの見込み患者数が算出できます。 しかし、開業したとしてもこれだけの患者さんが利用してくれるという保証はどこにもありません。あとは、開業後の医師とスタッフの努力いかんにかかってきます。
ですから、診療圏調査で得られた結果は、あくまで「目安」です。むしろこれを「目標」と捉えて、開業後、いかに早い段階でこの目標に近づけることができるかが重要なポイントです。知恵を絞って考えていきましょう。
診療圏調査は、診療科や地域によって、考え方や方法が若干異なります。詳しい方法や各種指標については、開業されようとする地域をよく知る福島会計事務所にご相談ください。

以前は、開業と言えば「自己所有地もしくは借地に戸建て」というのが一般的でしたが、
最近では都市部を中心に「ビル診」「借地」「建て貸し(リースバック)」「医療ビル」などの
開業形態が増えてきています。
それらをまとめてみると、次のようになります。





まず、収入ですが、収入の大部分を占めると思われる保険診療収入については、次の算式で計算します。


このうち、「1日当たり外来患者数」については、診療圏調査で算出した見込患者数を用います。ただし、開業当初からその患者数を確保できることは稀ですので、1年目は平均で約5~6割程度、3~4年でほぼ見込患者数に近づけていくという計画にします。
「1人1日当たり診療単価」については、診療科目、診療内容、院内・院外処方によって異なります。例えば、内科の院外処方の無床診療所であれば、5,000円前後というところでしょう。
「年間稼働日数」は、休診日等を考慮して概算で計算します。
そして、自由診療収入や介護保険収入、雑収入等を適切に見積もります。
費用は、大きく分けると変動費、人件費、地代家賃、減価償却費・リース料、その他の経費、支払利息があります。費目別に考えていきましょう。
●変動費
収入に対する比率で考えます。この比率は、診療科や診療内容により異なり、一般的に医薬品費は、院内処方で25~35%程度、院外処方ではほとんどかかりません。この他、診療材料費と検査委託費を数%ずつ見込みます。
●人件費
職種別に〔人数×月給与額×月数〕で計算します。月数は正職員ならば賞与を考慮し、年間で16か月分などとするのが通常です。また、これとは別に、奥様等の専従者給与を計算します。さらに、人件費に対して、10%程度の法定福利費を見込むことを忘れないようにしましょう。
●地代家賃
土地・建物を賃借する場合に必要となります。
●減価償却費
設備投資として見込んだ建物、医療機器等について 定額法もしくは定率法で計算します。医療機器等をリースで導入した場合には、減価償却費の代わりに毎月のリース料を計上することにご留意ください。
●その他経費
消耗品費、水道光熱費、通信費、保険料、租税公課 広告宣伝費など、内容別に適切な額を見込みます。
●支払利息
借入返済計画から毎期の利息額を計算します。



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事業計画書のサンプル
福島会計事務所では、下記の「事業計画書」の作成を
支援しています。
1.6か年目標変動損益計算書
2.月次目標変動損益計算書(3年分)
3.6か年資金繰り計画表
4.月次資金繰り計画表(3年分)
5.6か年目標要約貸借対照表
(「6か年」とあるのは、開業初年度の月数が12か月以内となるためで、
開業後5か年分の計画の立案を想定しています。)
ここでは、「6か年目標変動損益計算書」のサンプルをご紹介します。


固定金利と変動金利、元金均等と元利均等、人的担保と物的担保等の基礎知識を一通り理解しておきましょう。

返済期間は長ければ長いほどよいというものではなく、「設備投資のための資金は長期で、運転資金は短期で」というように、長期・短期のバランスを考えた資金計画を立てること。

不動産に対する抵当権など十分な担保を確保しておきたい。

金融機関との交渉には、院長の人柄と診療所経営に向かうビジョンと熱意を
理解してもらうように誠実な態度で臨みましょう。

厳しい融資情勢の中で、事業計画を提出し、事業としての将来性があることを納得してもらうことが不可欠。
経営者として、事業計画を説明できる基礎的な財務知識は身につけておきたい。

融資条件は言うまでもないが、通常借入先がメインの取引銀行となるため、
開業予定地の近くにあること、安全性に問題がないことなども選別基準となる。